下水スラッジ(汚泥)処理設備

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下水スラッジ(汚泥)処理設備

家庭や工場から出る廃水は、下水処理場で処理されますが、そこから出るスラッジは、相当の量になります。現在は焼却、埋立等で処理されていますが、最近は埋立地の確保が困難になっていること、また、焼却灰から重金属が溶出するなど、難しい問題がクローズアップされてきました。ここに廃棄スラッジの減量化、無害化、および有効利用が期待される社会的背景があります。

下水スラッジ溶融処理設備のアーク炉

機械事業部は1975年から、アーク炉を使用したスラッジの溶融処理実験に着手し、翌年、通産省重要技術研究開発補助金を受け、1978年1月に成功の認定を受けました。そして同年11月に川崎市から第1号設備の受注に成功し、現在製作中です。

当社が開発した溶融処理方式は、密閉型アーク炉内に乾燥スラッジを投入し、高温で熱分解・溶融を行なうものです。この方式ですと、有機物は短時間にガス化し、燃料として回収利用できます。また無機物中の非金属は、スラグとして溶鉄上に浮上し、炉外に出され固形化または水砕化します。金属類は溶鉄・スラグ内に固溶されるので、溶出の心配はありません。しかもこのスラグは、スラッジに比べ容積は30分の1、焼却灰に比べ3分の1から4分の1に減量化され、山砕石に似た性質を持っていますから、人口砂利や建築材料の骨材として有効利用されます。

下水スラッジ溶融処理設備実験装置の全景

このように、廃棄物の無害化、再利用という社会的使命を担って登場したこの方式は、長年にわたる当社の技術の蓄積が十分に結実した、将来性のある製品といえるでしょう。

(大同通信 1979年1月号から)

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