木曽電気製鉄(株) 設立趣意書

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木曽電気製鉄(株) 設立趣意書

当社の創業期を支えた熱田工場は(株)電気製鋼所、築地工場は木曽電気製鉄(株)と、この時代には異なる二つの会社が存在しました。

今回は、1918年6月に設立された木曽電気製鉄(株) 設立趣意書を紹介します。

木曽電気製鉄(株) 設立趣意書

立国の要素として鉄の必要欠くべからざることは吾人の喋々を待たずして明らかなり。我が国においては、官立の製鉄所は九州にあり、東洋製鉄会社もまた工場を九州に設置せんとす。これ九州は製鉄の最要素たる石炭の産地なればなり。然りといえども、日本は四面めぐらすに海を以てす。西南の一角に存立せる製鉄所のみに依頼せんとするは不利、殊に不安の念に堪えざるなり。いわんや、製鉄用「コークス」に適する炭量は比較的豊富ならざるを以て、今日の勢を以て消費せば、遠からずして採掘し終わらんとするの趨勢なるにおいてをや。

ここにおいて、石炭に代うるに電気を以てをする製鉄業を本土の中央に起こすの必要に迫れり。電気炉を以て鉱石より銑鉄をつくり、さらに鋼を製するの事業はもはや研究時代を過ぎて実用時代となり、ことにスウェーデン・ノルウェーにおいては最近長足の進歩をなせり。幸いにして、本土の中央を貫流せる木曽川には豊富なる水力あり、当会社はこの水力を利用して電気を発生し、製鉄製鋼事業を起こし、以て叙上の問題を解決し、かつ一般電燈動力用として名古屋電燈(株)へ同会社所要の電力を供給し、いささか国家に貢献する所あらんとす。

先に紹介した(株)電気製鋼所の設立趣意書と比べると、木曽電気製鉄(株) の設立は製鉄・電力両事業の発展を目的としていることが分かります。

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