製作技術を確立した電気炉の販売を開始
当社の電気炉製作の歴史は、現存する日本最古の電気炉でもある1.5トン エルー式アーク炉をのちの第3代社長寒川恒貞が設計・製作した創業以前の1916年3月にさかのぼります。1920年には木曽電気興業(株)が1.5トン エレクトロメタルス式アーク炉を導入し、鋳鋼の生産を開始しました。工具鋼、特殊鋼鋼塊の製造に注力するとともに鋳鋼の販路拡大に努めました。
(木曽電気興業(株) 製鉄工場)
1922年の(株)大同電気製鋼所の発足以降、電気炉開発の拠点を築地工場から熱田工場へ移し、川崎舎恒三常務取締役が中心となり研究を進めた結果、電気炉を自社で製作する能力を身に付けました。1927年には当時我が国最大の10トン エレクトロメタルス式アーク炉1基が熱田工場で稼働を開始。当社の苦しい時期を支えたマンガン鋼製特殊軌条の新製品開発を狙っての設備導入でした。
電気炉の製作を進める中、1930年には自動電流調整装置が完成し、特許を取得。以降、新設アーク炉に同装置を併置し、ここに大同メタルス式アーク炉が完成しました。この成功を受け、同年10月に定款を変更し、営業目的に電気炉製作事業を追加、当社は電気炉の販売を開始しました。PR活動も積極的に進め、東京で開催された「海と空の博覧会」に出展したアーク炉の大型模型は好評を博し、同博覧会で金賞・牌を受賞しました。
大同メタルス式アーク炉の模型
熱心な販売活動が実り、1932年には外販第1号となる3トン大同メタルス式アーク炉を南満州鉄道に納入しました。その後も国内の設備増強の流れに乗り、電気炉の注文は急増。1931年までの電気炉制作実績はおよそ30基に過ぎませんでしたが、その後の5年間に約150基(アーク炉70基、加熱炉80基)と増加の一途をたどりました。
電気炉の製作・販売は現在に至るまで当社の主要事業の一つとして継続、2013年に稼働を開始した知多工場の150トンアーク炉も当社の製造によるものです。