新しいプラスチック金型用鋼 PDS5
テレビやラジオ、クーラーをはじめ自動車の内外装部品など、私たちのまわりには美しいプラスチック製品を数多く見ることができます。
プラスチック製品の大部分は、流動性のあるプラスチック樹脂を高圧力で金型に流し込んで成形されます。このため、金型用鋼は均一な組織を持ち、強度と削りやすさを兼ね備えていることが必要です。
当社のプラスチック金型用鋼としては、すでにPDS1(S55C相当、ショア-30)、PDS3(SCM440改良ショア-40)、NAK55(HRC40)を販売し、各分野で好評を博しております。
PDS5製ミニテープレコーダー用フレーム金型
ここに紹介するPDS5は、PDS3とNAK55の中間硬度をねらい、かつ被削性にも優れているプレハードンタイプの特長をもっています。
PDS5の特長
- 硬さがHRC33(ショア-46)と高いため、金型寿命の向上が図れます。
- 被削性に優れているため、型加工工数の短縮を図ることができます。
- すでに調質してあるため、このまま型彫加工して使用できます。
- 窒化特性に優れ、シボ加工性(金型表面の化学腐食)、溶接性、放電加工性などは、従来鋼と同等の優れた性質を示します。
一般にプラスチック金型は、その用途により要求特性が異なり、種々の鋼種が使い分けられてますが、PDS5はその優れた性能から汎用金型用鋼として、今後広い分野で使用されるものと期待されます。
(大同通信 1980年7月号から)