急速ガス冷却式 真空熱処理炉
1984年9月に機械事業部が販売を開始した「急速ガス冷却式真空熱処理炉」を紹介します。
真空熱処理炉
近年、自動車をはじめ各産業界で、金型材として高速度工具鋼(ハイス鋼)の需要が増大しています。これは、製造コスト低減を目的とした省プロセス化(熱間鍛造から冷間鍛造への移行)に伴い、より寿命の長い金型材が要求されてきたためです。
従来、このハイス鋼の焼入れはソルトバス方式または真空熱処理炉で処理されていますが、どちらも生産性、作業環境、冷却能力等に難点があり、各ユーザーから新しい処理方法が切望されていました。
機械事業部では、これらのユーザーニーズに対応するため、高蔵製作所にテスト炉を設置し、渋川工場、技術サービス部の協力のもとに本炉を開発しました。つまり機械事業部のハードと、鋼材部門のソフトの結晶であるといえます。
9月の発表以来、すでに10社以上のユーザーから引き合いが寄せられ、新製品として売上増大に寄与するものと期待しています。
特長
- 急速ガス冷却
- ガス冷却時最大700kPaの炉内加圧ガスをターボファンにより循環させ、材料の急速冷却が可能です。ソルト焼入れ(熱浴冷却)と同等の硬さが得られます。
- 均一な冷却
- 切換えダンパを設け、ガスの流れの方向を切換えることにより、均一な冷却速度が得られます。
- 冷却速度の調整が可能
- 炉内には、最大700kPaまでの加圧ガスでの操業が可能です。材料によっては、ガス圧力を調整することにより、冷却速度をコントロールすることが可能です。
(大同通信 1984年11月号から)