薄膜応用分野で活躍する大同のターゲット材料
どこの家庭にもあるカセットテープに、音や画像がどうやって記録されているのか不思議に感じる方も多いはずです。実は、このテープの表面にある、ごく薄い膜が磁気を帯び、その情報が集まって音や映像をつくり上げているのです。
このように、物の表面に異なる材料の薄い膜をつくる技術を成膜技術といいますが、これによって元の物の機能を高めたり、まったく新しい機能を付加したりすることができるため、現在ではさまざまな分野にその用途が広がっています。
成膜にはよく知られたメッキやさまざまな方法が用いられますが、そのうちでもスパッタリングは、いま最も注目されているもののひとつ。そして、この方法で使われる成膜材料が、ターゲット材料です。
スパッタリングの原理
膜を付けようとする物(基板)をプラス極、ターゲット材料をマイナス極にして高電圧をかけます。すると、周囲のアルゴンガスが放電して陽イオンが発生します。この陽イオンはマイナス極のターゲット材料に加速しながらぶつかり、ターゲット材料の原子を叩き出します。この原子が基板に付着し、強固な薄膜となります。
当社は、以前からさまざまなレアメタルに着目し、クロム、タンタル、チタン、モリブデンあるいは磁性合金など、質の高い各種のターゲット材料を製造しています。
また、ターゲット材料を製造するだけでなく、薄膜の分析や評価技術を確立し、成膜装置の販売も行っています。
製品に新機能を与える成膜技術。今後も数多くのターゲット材料が開発され、その用途を広げていくことでしょう。
(大同通信 1989年7月号から)