Nimonic80A 船舶用大型バルブ
今回から始まる「ミクロの美術館」では特殊鋼のミクロの世界をみなさんにお見せしながら、その個性あふれる性格をご紹介していきます。
船舶用エンジンバルブ
さて、栄えある第1回に登場するのはエンジンバルブです。バルブといっても、これは船舶用。船舶用の大型ディーゼルエンジンには製品重量にして300~350キログラムもの大型バルブを搭載しています。材質はNi基超合金Nimonic80A。
この壁にペンキをぶちまけたような模様、なんだと思いますか?下の写真は、Nimonic80Aの内部組織を抽出レプリカ法という方法で写し出し、拡大したものです。
小さいつぶつぶの部分、これはガンマプライム相。このつぶつぶが結晶粒内に細かく分散することで高い強度、硬さを持つ鋼となるのです。そして結晶粒界(つぶつぶの部分)の中に横たわる部分、これは塊状の炭化物で、この形状や粒界の形を制御することで高温に強い性質ができるのです。
(ふれあいDAIDO 1994年1月号から)