電線業界を席巻した大同の熱回収式塗装電線焼付炉
高蔵製作所は、大は鉄鋼向けのアーク炉、大型加熱炉から、小は時計部品の、小型熱処理炉にいたるまで各種の炉を製作しています。現代の技術革新の流れの中で、当製作所も新製品の開発に全員が努力を傾注しています。ここに紹介する熱回収式電線焼付炉は、開発製品の第一陣として、社の内外から期待と注目を浴びています。
熱回収式塗装電線焼付炉
塗装電線焼付炉の新旧形式の比較概念図
従来の電線焼付炉(図A)は、焼付の時、蒸発する気体をすべて大気中に放出していますが、これは、
(1)加熱された多量の熱風をそのまま放出し熱効率が低い。
(2)溶剤蒸気の臭気が著しく作業環境を悪くし、また付近の民家にも害を及ぼし公害問題となっている。
これに対し、この熱回収式電線焼付炉(図B)は、焼付時に蒸発する気体を、当社が新しく開発した特殊な白金触喋(特許申請中)で燃焼させて、その燃焼ガスを炉内に循環させるので、
(1)非常に熱効率が優れ、焼付の線速も速くでき、従来型炉の5分の1程度の電力ですむ。
(2)蒸発した溶材は完全に燃焼され、無臭無害となり、作業環境の改善、公害対策にも役立っています。
電線業界は今後ますます近代化、合理化の必要に迫られており、当社の熱回収式塗装電線焼付炉がその強力な推進力となるべく、当製作所はいっそうの努力を続けています。
(大同通信 1969年6月号から)