原子の積み木細工 半導体結晶の世界を覗く

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原子の積み木細工 半導体結晶の世界を覗く

私たちの周りで様々な半導体が活躍しています。新幹線切符の予約、あるいは銀行のCDなどを制御するコンピュータからテレビやビデオのリモコンも半導体のおかげです。これらの半導体がその素晴らしい機能を発揮するためには、半導体結晶を作る無数の原子が1~10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の間隔で規則正しく配列していることが必要です。このため、半導体の特性は原子の大きさの世界に立ち入らないと理解できません。

発光ダイオード発光ダイオード

上の写真は通信用に使用される赤外線を出す発光ダイオードで、下の図でその断面の一部を示します。2種類の半導体結晶(AlAsとGaAs)が交互に積層された構造になっています。有機金属化学気相成長(MOCVD)法で作られた試料の断面の走査電子顕微鏡写真を下に示します。2種類の結晶が交互に積層されていることがわかります。各層の厚さは約70ナノメートルです。一番下の写真は結晶の境界面を高倍率で撮影した透過電子顕微鏡像です。小さな点が詰まっているように見える部分がGaAsで、点は原子の配列を示します。写真を特定の方向から見ると原子の列が確認されます。また、境界面に原子配列のステップが形成されていることも確認できます。なお、GaAsの上はAlAsですが、試料を加工する際に酸化物が形成されて規則性が壊れてしまい(アモルファス状態と言います)、配列は見えません。

2種類の半導体結晶の積層構造2種類の半導体結晶の積層構造
発光ダイオード断面図発光ダイオード断面図
2種類の半導体結晶の境界面写真とステップ図2種類の半導体結晶の境界面写真とステップ図

積層構造で各層をさらに薄くしたものは人工格子と呼ばれ、自然の材料にはない特性が現れてきます。その特性を利用した新しい機能を持つ半導体の開発も行われています。

(大同通信 1994年5月号から)

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