新工場建設計画の全容固まる

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新工場建設計画の全容固まる

自動車産業の伸びに着目し、構造用鋼を中心とする量産鋼種こそが、当社の将来を約束するとの確信を得て新設を決断した新工場建設計画の骨子がまとまりました。

1. 概要

(1) 新工場は、製鋼、分塊、圧延の一貫工場であること。特殊鋼は品質に対する要求が厳しくかつ多種多様で、受注ロットも比較的小さい。したがって、低いコストで品質優良な特殊鋼鋼材を生産するためには、きわめて高度な技術と一貫した品質管理、工程管理が不可欠であり、しかも鋼材の品質特性の大部分が製鋼過程で決定されるのであるから、新工場は製鋼、分塊を備えた一貫工場であることが必要である。

(2) 原料関係では、とりあえず鉄クズを利用するが、将来東海製鉄(株)の高炉完成に伴い、溶銑の供給を受ける。

(3) 製鋼設備は、まず70トンアーク炉を設置し、溶銑受入とともに、混銑炉を設置し、当分の間、アーク炉に溶銑を配合するが、将来は上吹転炉あるいはさらに大型のアーク炉を、その技術的進歩を十分検討のうえ設置する。

(4) 圧延設備は、二重逆転式大形分塊機を設置する。新工場建設の際には、現有設備を極力有効に利用することが、資金効率上望ましいので、新工場は製鋼分塊工場とし、当初の製品圧延は極力、星崎、平井両工場に依存する。星崎、平井両工場の製品量が24万トンを越えるにしたがって、両工場の立地条件からみて、これ以上の増加は困難となってくるから、引き続き製品圧延機を設置し、製品を生産することとする。

(5) 製品圧延機としては、現有圧延機の能力バランスからみて、中、小形棒鋼の能力が不足することは明らかであり、まず高性能の中、小型圧延機を予定する。

(6) 以上に必要な敷地105万5,000m2は、東海製鉄(株)の南部に隣接して名古屋南部工業地域の海面を埋め立てて確保する。

2. 設備計画

以上の計画の線に沿い、需要の伸長速度、東海製鉄(株)の建設計画などを考慮し、工期を3期に大別した。なお、将来第4期以降の拡張工事を行うことになる。その内容と工場全般の配置計画は次のとおりである。

3. 生産計画

新工場は設備の内容からみて、構造用鋼、バネ鋼、超快削鋼などロットのまとまる量産特殊鋼が主力となり、耐熱鋼、工具鋼など特殊なもの、あるいはロットの小さいものなどは、既存の星崎、平井両工場で溶解、圧延することになる。二次加工については、星崎工場の処理能力を急速に整備中であるが、ロットが相当単位にまとまる時期には、新工場の設備が稼働する計画である。生産能力については、新工場建設計画の各期を追って逐次上昇するが、将来の生産能力について新設の分塊圧延機は、月6万トンの設備能力を持っており、将来これに見合う製鋼および製品圧延設備を増強し、鋼材生産能力としては、新工場月4万7,000トン、現有設備1万6,000トン、合計6万3,000トンとする計画である。

4. 電力計画

電力は、中部電力(株)から154kVで充電し、これを45,000kVAの受電変圧器により、22kVに変成し、製鋼、圧延および一般動力用に配電する。

5. 輸送計画

知多工場の輸送は立地条件よりして、海上に重点をおくことになるが、特殊鋼の場合、資材の入荷、製品の出荷ともに将来とも陸送に依存する部分が相当割合を占める。道路としては、名古屋、半田、豊橋線は狭あいであり、現海岸線に沿って予定されている産業道路に接続する計画である。鉄道は、建設中の名古屋東港線の延長線として予定されている南部臨港線(南区滝春町から南部臨海工業地帯にいたる貨物線)に接続する計画である。岸壁は、当初1,000トンバースを、引き続き10,000トン~20,000トンのバースを完成し、特に輸入鉄クズの引取諸掛を大幅に節減する計画である。

新工場設備計画概要

区分 期間 建屋 主要設備 生産能力
(鋼塊月産)
従業員数
区分 完工
第1期 1961年3月~
1962年8月
製鋼工場
分塊工場
1962年4月
1962年7月
70トンアーク炉 1962年6月以降
8,800トン
235人
分塊圧延機
鋼片圧延機
受電設備
岸壁
付属設備
第2期 1961年8月~
1963年3月
製鋼工場増設
中小型工場
1962年6月
1962年9月
70トンアーク炉 1962年11月以降
21,100トン
555人
中小型圧延機
岸壁
10,000~20,000トン
バース
付属設備
第3期 1963年1月~
1964年12月
転炉工場
圧延工場
1964年11月
1964年11月
35トン転炉 1964年12月
37,400トン
850人
製品圧延機
付属設備
新工場埋立予定地-点線枠内(1961年3月)
430/570

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