高級鋼の遠心鋳造パイプ

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高級鋼の遠心鋳造パイプ

パイプの製造法には、板を溶接したもの、棒から押し出し、引き抜いたもの、そして溶湯から直接鋳造する方法などがあります。

各種遠心鋳造パイプ

鋳造パイプにも、いろいろな製造法がありますが、品質と価格の面で優れたものに、遠心力を利用した方法があります。例えば、バケツに水を入れて振り回すと水がこぼれないのは遠心力によるものです。下の図のイ、ロ、ハは、この原理を溶鋼に使った場合を示したもので、ハの状態で鋳造されるものが遠心鋳鋼管です。したがって、遠心力のかかった状態で、金型の中で凝固が進むので、機械的性質の優れた、鋳造欠陥のない高品質のパイプが製造されることになります。

遠心力を用いた製造法

製造法は、当社ではステンレス、耐熱鋼管に経験の豊かな米国企業と金型遠心鋳造法について技術提携をし、いっそう安定した品質で生産中です。

ステンレスのパイプは化学工業用に、また、熱処理用のラジアントチューブ、ハースローラーや石油化学のリフォーマーチューブには、耐熱鋳鋼など、ニッケル、クロムやコバルトなどの多い高級鋼のものが使用されます。

この他、油圧用のシリンダー、土砂運搬の送砂管などのクロム、タングステンの多い耐磨耗鋼や、ピストンリング、ギヤー材など、内径40ミリから外径1メートル以上の広範囲な遠鋳パイプが製造され、産業界で活躍しています。

(大同通信 1971年4月号から)

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