NiTi形状記憶合金ブラジャー用芯材

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NiTi形状記憶合金ブラジャー用芯材

ブラジャー用芯材に、NiTi形状記憶合金が使用されていることをご存じですか?形状記憶合金には、変形された形状が加熱によって元に戻る「形状記憶効果」と、ゴムのように伸び縮みする「超弾性効果」があります。これらの効果は、洗濯時の変形防止と、心地よい装着感に活かされています。

ブラジャーの芯材に使用されるNiTi形状記憶合金ブラジャーの芯材に使用されるNiTi形状記憶合金

さて、下の写真はNiTi合金の試料表面を、温度を変化させて微分干渉顕微鏡で観察したものです。上側の写真は試料温度が60℃、結晶粒界と若干の介在物を除けば、試料表面は滑らかな状態です。この状態から20℃へ冷却すると、下側の写真に示すように、結晶粒内にはピラミッド状、笹葉状の複雑な表面起伏が出現します。しかし、再度60℃に加熱すると、この複雑な表面起伏は消失し、上側の写真のような滑らかな状態に戻ります。

試料温度 60℃試料温度 60℃
試料温度 20℃試料温度 20℃

このように元通りに戻るのはNiTi合金の組織が特別な性質を持っているからです。もし、これが普通の鋼鉄だったら、下側の写真の状態になってしまうと、そのまま上側の写真のように滑らかな状態には戻ることはありません。NiTi合金が、このように元の状態に戻るのはマルテンサイト変態によるもので、それぞれの起伏に対応するマルテンサイトは鉄鋼のそれと比べて非常に柔らかいことが特徴です。また、NiTi合金の「形状記憶効果」や「超弾性効果」の歪み量は8~10%に達します。1メートルのNiTi合金なら、1.1メートルまで引っ張っても元に戻るということです。これは、NiTi合金では力を加えると特定方位のマルテンサイトが成長するためです。

(大同通信 1994年2月号から)

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