興隆期を迎えた特殊鋼産業

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興隆期を迎えた特殊鋼産業

1951年の日本における特殊鋼生産量は前年に比べ、圧延鋼材は200%、鍛鋼は130%、鋳鋼は140%、平均180%と急激な伸びを見せました。国内需要の増大はもちろんのこと、ほとんどなかった特殊鋼の輸出も朝鮮動乱を機に始まり、1950年の特殊鋼圧延鋼材の輸出量は1,564トン、金額は1億4,700万円に達しました。

朝鮮動乱休戦以降も、当時急速に発展した自動車産業および機械・車両・造船・化学など諸工業の需要増加が重なり、特殊鋼生産量は上昇を継続。しかし、1954年に入るとデフレ政策の浸透とともに不況が深刻化し、4月以降特殊鋼の生産量も下降線をたどり、特殊鋼企業のほとんどが赤字に転落しました。

しかし、1954年から1955年にかけての輸出ブームにより日本経済は活況を取り戻し、特殊鋼の生産量も上昇。1956年の特殊鋼圧延鋼材の生産量は前年に比べ5割以上の伸びを見せ、鍛鋼、鋳鋼を含めた特殊鋼全体の生産量も上昇に転じました。

戦後における特殊鋼生産高の推移

特殊鋼の生産量上昇に伴い、輸出も同様に増加しました。1950年に勃発した朝鮮動乱を機に特殊鋼の輸出量は徐々に増え続け、1955年に特殊鋼圧延鋼材の輸出量は初めて10,000トンを突破しました。

特殊鋼圧延鋼材輸出高の推移

戦後5年間の苦しい時期を過ごした特殊鋼業は、その危機を乗り越え、興隆期を迎えました。

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