強靭性を誇る完成ロッド

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強靭性を誇る完成ロッド

“完成ロッド”とは、岩石に孔を開けるための、削岩機の先に取り付けるロッド(シャフト)のことです。相手が石とはいうものの、細くて長い孔を、限られた時間内に早く掘るためには、このロッドに要求される強靭性は、数ある特殊鋼の中でも最右翼に位置するものといわれています。

完成ロッド完成ロッド
浸炭完成ロッドの断面浸炭完成ロッドの断面

ダム、鉄道、道路建設でのトンネル工事ならびに鉱山採石現場などで、古くから完成ロッドの代名詞のように使われ親しまれてきた大同ロッド“CR2”も、近年、削岩機の強力化という時代の要求に応え、さらにいっそう強靭性に富んだハガネ“CR5”へと、置き換えられつつあります。

この“CR5”は、大同の技術が生んだ時代の寵児です。中が柔らかく外側が硬い、すなわち古来から伝わる日本刀の強さを、星崎工場の新鋭浸炭焼入装置で、量産という形で再現させたものです。

完成ロッド浸炭専用炉からの出炉作業完成ロッド浸炭専用炉からの出炉作業

一方、完成ロッドの素材としての中空鋼は、国内需要の70%強を供給するだけでなく、アメリカ、カナダ、中国、台湾の固定需要のほか、東南アジア、南アフリカ、東欧諸国からの引き合いが後を絶たず、輸出は年々増加の一途をたどり、前途洋々たるものがあります。

(大同通信1969年11月号から)

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