高速度工具鋼

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高速度工具鋼

発掘された人骨、それとも未知の恐竜?発掘された人骨、それとも未知の恐竜?

遺跡で出土した原始人の骨のように見えるものは、凝固ままの状態で観察される炭化物です。高速度工具鋼のように炭素の高い鋼は固まる時に炭化物が大きくなりやすいのですが、できる炭化物の種類によって様々な形になります。上の写真は、研究者が「肋骨状炭化物」と呼んでいるものですが、これ以外にもレンコンを輪切りにした模様なども見られます。材料は、0.9%C-4%Cr-4.5%Mo-6%W-2%V-5%Coの組成の高速度工具鋼「SKH55」で、凝固ままのものを研磨し、そのまま走査顕微鏡で1500倍で写真撮影しています。反射電子で撮影すると、腐食することなく炭化物を観察できます。

高速度工具鋼は熱処理を加えることにより、HRC60以上の高い硬さが得られることから、下の写真のようにドリルやエンドミルのような工具に使われます。もちろんソーキングや熱問加工を施し、微細な炭化物に調整してあります。

ドリル(上)とエンドミル(下)ドリル(上)とエンドミル(下)

(ふれあいDAIDO 1994年11月号から)

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